スラマッ トゥンガハリ、旅ブロガーのファインです。
マレーシアの国教は「イスラム教」というのはご存じの方も多いでしょう。
しかし多民族国家であるマレーシアは、「仏教」や「ヒンドゥ教」も信仰しています。
前回と前々回はKL観光としてイスラム教の礼拝堂「モスク」について語りました。
多民族国家のマレーシアでは、29%の中国系が仏教やキリストを信仰しています。
また、7%を占めるインド系はヒンドゥ教を信仰しているのです。
そのヒンドゥ教の聖地と呼ばれる場所がクアラルンプールから日帰り圏内にあります。
期待値が低かったファインは、いい意味で予想を裏切られましたwww
ということで、今回はヒンドゥ教の聖地「バトゥ洞窟」について語ります。
バトゥ洞窟:Batu Caves
<ハヌマーン:Hanumān>
「バトウケーブス駅」を降りると、緑色のクオリティーの低い像が立っています。
インド神話に出てくる、猿の神様「ハヌマーン」像です。
ハヌマーンとは、インド神話に登場する神猿です。
「ハヌマット」や「ハヌマン」、「アンジャネーヤ」とも呼ばれていますが、日本では一般的にハヌマーンと呼ばれています。
ハヌマーン = 顎骨を持つ者
変幻自在の体はその大きさや姿を自在に変えられると言われています。
また、ハヌマーンは空も飛ぶ事ができるそうです。
大柄で顔は赤く、長い尻尾を持ち雷鳴のような咆哮を放つとされています。
ちなみに、ハヌマーンの顔で、顎が変形していると思いませんでしたか?
これは、ハヌマーンが果物と間違えて太陽を持ってこようとした際に、顎を砕かれたとという、言い伝えが残されているためです。
現在でもハヌマーンの人気は高く、多くのヒンドゥ教寺院で手厚く保護されています。
皆さんご存じの「西遊記」に登場する孫悟空のモデルになったとの説もあります。
以下の写真からハヌマーン像が胸を開いて2つの像を見せているのがわかるでしょうか?
王子ラーマへの忠誠を誓い自らの胸を切り開いた姿をを示しているとの伝説があるみたです。
サルの神様「ハヌマーン」
<ラマヤナ洞窟:Ramayana Cave>
「ハヌマーン像」の先にある洞窟です。
入場料:5RM(約149円)
ヒンドゥ教の物語を基にした展示物が並んでいます。
入場すると、すぐ目に入ってくるのが金色の馬車です。
金色の馬車の背後には、青い無表情の「ビシュヌ神」が堂々と立っています。
ビシュヌ神は、ヒンドゥ教の三人の最高神の1人です。
慈悲深く、温厚公正で、世界を維持する役目を担っています。
また「アヴァターラ(アバターの語源)」と呼ばれる10の化身を持っているのです。
金色の馬車とビシュヌ神
ラマナヤ洞窟へ「ビシュヌ神」の横から入場します。
洞窟内は暗いイメージが強いですが、電飾が派手なのでここはかなり明るかったです。
ラマヤナ神話が表現されているので、展示物は物語順になっています。
ファインは、この物語を全く知らないので
「派手な展示物があるなぁ~」
という印象しか受けませんでした💦
洞窟内で一番目を引くのは、「寝ている巨人」でしょうか。
巨人の名前は、クンバカルナ。
9か月間眠り、1日だけ起きることを繰り返呪いをかけられた様を表現しています。
神話のストーリーがわからないファインは、どんどん奥へ進みます。
すると、石の階段があり登ることが出来るようです。
最上部まで登ると、洞窟内の装飾された灯りに照らされて神秘的な景色が見られます。
クオリティは高くないので、時間調整程度で見学すればいいのではないでしょうか。
実は、交通機関の「マレーシアKTⅯコミューター」の運行本数が少ないのです。
待ち時間が長くてイライラするなら、その間に見学して時間を潰しに利用できますww
<ヒンドゥー教の神様:ムルガン・スカンダ>
最寄り駅を降りると最初に目に飛び込んでくるのは「金色の巨大な像」です。
このインスタ映えする巨大な像は、ヒンドゥー教の神様・ムルガンです。
「ムルガン・スカンダ」は、シヴァ神の息子とされています。
軍神としてしられているムルガンの別名は、4つもあります。
・スカンダ
・クマーラ
・カールティケーヤ
・マハーセーナ
どれも日本では馴染みがないと思います。
ムルガン・スカンダは、仏教にも伝わり、日本語に訳されたら「韋駄天」です。
仏教で訳された韋駄天と聞くと
「あ~」
と言う人は多かったですねwww
ムルガン・スカンダの高さは約42.7mもあります。
このムルガン・スカンダ像の周辺には、数えきれないほどの鳩がいました💦
これだけ鳩がいると、彼らの糞による被害にあった観光客も多いかもしれませんwww
たくさんの鳩たちから逃げるようにすり抜けると「バトゥ洞窟」の正門があります。
バトゥ洞窟の名称は洞窟になっていますが、ヒンドゥ教の聖地なのです。
もちろん聖地なので、我々が足を踏み入れるには、服装のマナーが求められます。
ヒンドゥ教も肌の露出がある服装はNGです。
もし、薄着で訪れた場合はストールを入口で貸してくれます。
ストールレンタル料:5RM(約149円)
汚さずに返却すれば、2RM(約60円)戻ってきます。
入場料:無料(ドネイション制度の募金箱は洞窟内に設置してあります)
営業時間:6時半~20時半
ムルガン像の後ろに見えるカラフルな272段の階段もまたインスタ映えしますね。
バトゥ洞窟は、4億年もかけて造られた巨大な鍾乳洞の中にある寺院です。
見た目の派手さから想像できませんが、ここは立派なヒンドゥ教の聖地なのです。
ヒンドゥ教の神様・ムルガン・スカンダ
<野生の猿:Wild Monkey>
たくさんの鳩からの糞攻撃を逃げ切ったと思っても安心してはいけません💦
272段の階段を登っていると、たくさんの野生の猿が観光客に近づいてきます。
彼らは、人間をまったく恐れません。
猿のエサも5RMで売っているので、人間がエサをくれるものだと知っています。
動物好きなら楽しめると思いますが、苦手な人は階段を登るときは少々大変でしょう。
バトゥ洞窟の野生の猿
ちなみに、4列ある272段の階段はかなり急斜面です。
登り切ったと思って、洞窟内に入ろうとするとまた階段が・・・・・・・・・💦
高さ100mの洞窟に入ると、2羽の孔雀と本殿がやっと姿を現しました。
本殿の後ろには、以下の写真の様な装飾が飾られています。
本殿の後ろにある装飾
次回紹介する「スリ・マハ・マリアマン寺院」でも似たような装飾を見かけました。
洞窟の端には、よく見るとムルガンの父と母が祀られていました。
このバトゥ洞窟は、ベトナム編で紹介した「マーブルマウンテン」に似ています。
アクセス:Access
距離:クアラルンプール中心部から約14㎞
最寄り駅:マレーシアKTⅯコミューター「バトゥケーブス駅」 徒歩3分
KLセントラル発『BATU CAVES』行きはPLATFORM 4から出ています。
現在は、PLATFORM5から出ているようです。
所要時間:約30分
運賃:片道:2.60RM(約78円)/往復:5.20RM(約155円)
運行間隔:1時間に2本
問題の改修工事
ファインが訪れたときは272段の階段は地味な色でした。
しかし現在は改修工事して赤、黄、青などの派手に塗り替えられています。
これが、現地では批判が殺到し問題となっているのです。
批判の理由は、
「周囲の景観に全然マッチしていない」
「センスが悪い」
などです。
文化遺産を管轄する政府機関の監督庁が無許可で行った寺院側と対立が続いています。
マレーシアの文化財保護法40条
文化財に指定された建物、施設に関し、改修や補修を含む各種工事、何らかの手を加える場合には文化遺産を担当する文化遺産局(JWN)に届け出と許認可が必要である。
バトゥ洞窟の改修委員会曰く
「文化遺産に指定されているのは寺院です」
「改修工事した階段は遺産には含まれていないので、届け出は必要はないものだ」
として法令違反ではない、との主張しているのです。
これに対し、政府機関の監督庁側は
「文化遺産はその周囲の建物、施設、景観を含めた全体です」
「階段もその付帯設備として届け出る対象になります」
と、真っ向から反対の主張をしているのです。
さらに
「今回の無許可による塗り替えは法律違反の可能性がある」
とかなり怒っているらしいです。
この塗り替えの影響で、世界遺産の登録を見送られた経緯があるので無理もありません。
ちなみに、マレーシアの文化遺産には登録されています。
272段の派手になった階段
マレーシアの世論は、この塗り替えられた階段に対していい感情は持っていないそうです。
マレーシア在住の知人の話によると、
①610万RM(約1,821万円)の経費が掛かっている事
②塗り替えのアイデアは、改修委員会会長の息子が出した事
この2点が、マレーシア国民の感情を逆なでしていると聞きました。
「ヒンドゥ寺院の改修や色塗りに関係者以外が口を挟む問題ではない」
との意見もあり、問題解決できないとの見方が大半を占めているそうです。
<ダーク・ケイブ・ツアー:Dark Cave Malaysia>
暗い洞窟の中を探検するツアーで、洞窟内の生態系や歴史を紹介してくれます。
バトゥ洞窟の裏側からスタートします。
▼『Educational tour』
所要時間:約45分
営業時間:10:00~17:00(土・日・祝:10:30~17:30)
ツアー料金:35RM(約1,045円)
当日申込可能で、ヘルメットと懐中電灯を貸し出ししてくれます。
ファインは時間の都合上参加していませんが、3時間~4時間のコースもありました。
このツアーには、遊歩道などはありません。
狭く低い所を這いつくばって移動する事もあるので、甘く見ていると大変な目にあいます。
タイプーサム・フェスティバル:Thaipusam Festival
ムルガン神が、母より与えられた槍を用いて魔王を倒したことが由来となっています。
毎年1月下旬から2月上旬にかけて、世界の奇祭として有名なヒンドゥー教最大の祭です。
苦行系のお祭りで、日本人にはかなり刺激が強すぎると思います。
針を体中にたくさん刺して歩くので、目を覆いたくなるような光景が観れるのです。
以下の写真は、かなりソフトなかんじですから・・・・・・・💦
タイプーサム・フェスティバル
クアラルンプール市街地の方から「バドゥ洞窟」まで例年であれば歩くのですが・・。
コロナの影響で、現在マレーシアではMCO(Movement Control Order活動制限令)が発令されています。
その中で、国家安全保障会議は「タイプーサム」を条件付きで行う事を許可しました。
2021年「タイプーサム」は10名のみ行進が許可されバトゥ洞窟のみ行われたのです。
過去に紹介したペナン島では「3日間開催されるタイプーサム」は中止となりました。
ペナン島に行かない人はマレーシアの本当の価値を知らない #103 | 元添乗員のひとり旅 (fineserviceagency.com)
このお祭りは、クアラルンプールよりもシンガポールの方が知られているかもしれません。
シンガポールでは、2023年は2月5日に開催予定です。
タイプーサムは、ヒンドゥ教の大変象徴的な祝祭で、神のご加護を求め、忠誠を誓い、感謝を捧げながら行進し、「美徳」「若さ」「力」の象徴とされています。
悪を打ち砕く神であるムルガン神を称えて祝われるもので、次回紹介する「スリ・マハ・マリアマン寺院」を早朝4時から「バトゥ洞窟」を目指して行進するのです。
祝祭は夜明け前に始まり、信者の中には自らの舌に串を刺す人も現れます。
串を刺している人間の光景は圧巻で、信者は痛みに耐える精神鍛錬を積む必要があるのです。
タイプーサムの約1ヵ月は厳しい菜食主義を維持して禁酒、禁欲し、精進します。
精神が物質的欲求から解放されると、信者は針を刺している痛みを感じることがなくなると信じられているのです。
クアラルンプール滞在の際は、このタイプーサムの時期を狙うのもいいかもしれません。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
追伸
今回ご紹介した「バトゥ洞窟」はいかがでしたでしょうか?
2022年は、記事内で紹介した「タイプーサムフェスティバル」は1月18日(火)にペナン島とクアラルンプールで行われました。
マレーシアのように、お互いの宗教を認め尊重しあえば争いごとも少なくなると思いませんか?
「タイプーサム」のような痛々しいお祭りは正直苦手ですが、異教徒が参加できる環境はとても素晴らしく感じます。
ファインは世界中がお互いの宗教を認め合う風潮になれば世界平和に近づくと考えています。
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