ブエナス タルデス、旅ブロガーの「ファイン」です。
あなたは、2007年に世界文化遺産に登録されたメキシコにある大学をご存じですか?
それは、ラテンアメリカ最大規模の「メキシコ国立自治大学」です。
メキシコ国立自治大学は、ただの国立大学じゃありません。
1551年に創立された大学で、アメリカ大陸で二番目に古い歴史を持っています。
キャンパスは、著名な建築家マリオ・パニと、エンリケ・デル・モラルによって設計されました。
ということで、今回は「メキシコ国立自治大学」について語ります。
UNAM:Universidad Nacional Autónoma de México
メキシコ国立自治大学 = 通称:UNAM
60人以上の建築家や技師が統一性を持って作り上げた都市大学です。
世界文化遺産に登録されたメインキャンパスの「シウダー・ウニベルシタリア」
日本語に訳すと、
「メキシコ国立自治大学 (UNAM) の大学都市中央キャンパス」という名称です。
ロサンゼルスのUCLAも広くて大規模でしたが、UNAMも負けてはいません。
現在約35万人の学生の学び舎となっているUNAMは世界最大級の大学施設なのです。
20の学部、6つのスクール、5つの研究センターがあり、その規模から
大学都市:セーウー(”CU” Ciudad Universitaria)とも呼ばれています。
ちなみに、ファインは見かけませんでしたが、UNAMには日本人学生もいるみたいです。
<メキシコ壁画運動:Mexican muralista art movement>
1920年代から1930年代にメキシコ合衆国で起こった絵画運動です。
革命意義やメキシコ人としてのアイデンティティーを民衆に伝えることが目的の運動です。
当時、スペイン語が読めない人が多かったので壁画が描かれたという説もあります。
そのため個人所有でなく、誰でもいつでも見ることのできる壁画が媒体に選ばれました。
※民衆に社会主義革命の意義や成果をわかりやすく印象的に伝えることが重視されました。
<メキシコ壁画運動の三代巨匠>
メキシコには3人の巨匠と呼ばれる画家がいます。
★Diego Rivera:ディエゴ・リベラ
★David Alfaro Siqueiros:ダビッド・アルファロ・シケイロス
★José Clemente Orozco:ホセ・クレメンテ・オロスコ
※三人とも国立サン・カルロス美術学校で学んだ共通点があります。
<世界文化遺産に登録されたのは6ヵ所の施設>
①「オリンピック・スタジアム」
②「40カ所の学部・研究所」
③「文化センター」
④「生態系の保全区域」
⑤「中央図書館」
⑥「博物館」
メキシコ国立自治大学は著名人を多く輩出する大学としても知られています。
<著名な卒業生>
★メキシコ歴代の大統領・コスタリカ大統領・グアテマラ大統領・ボリビア副大統領
★2007年に世界一の大富豪に認定された実業家カルロス・スリム
★ノーベル文学賞受賞者オクタビオ・パス
★「ゼロ・グラビティ」でアカデミー賞監督賞を受賞したアルフォンソ・キュアロン
★ノーベル化学賞受賞者マリオ・モリーナ
フアン・オゴルマンのモザイク壁画
UNAMにある壁画の中でも一番巨大で、有名なのが中央図書館に描かれています。
4面にテーマ別で描かれていて、その全てがタイルでできているのです。
フアン・オゴルマンのモザイク壁画
南側 『スペイン植民地時代の圧政』
東側 『太陽と月、宇宙、科学、政治』
北側 『アステカ文明』
西側 『学生たちの現代メキシコにおける役割』
壁画としては世界最大で、アステカ文明やスペイン侵略をモチーフにした絵、
学章や天動説・地動説などが描かれています。
写真のセンスがあればもっとちゃんと伝えられたのに・・・下手でスイマセン💦
この中央図書館を生で見ると、なかなかの迫力で圧倒されますよ。
<大学の授業料>
博物館や植物園など多くの文化施設を抱えるUNAMは、政府が財政援助を行っています。
国立大学の学費は、一学期でたったの50センタボ(日本円で約3円)です。
大学本部棟の鷲とコンドル
特に貧困層出身者に対する手厚い支援制度があります。
奨学金制度、夜間授業、食堂の補助金制度などが充実しているのです。
<現代アート美術館:Museo Universitario Arte Contemporáneo>
メキシコ国内外の現代アーティストによるメキシコアートの最前線の美術館です。
エントランスにはメキシコを代表するルフィノ・タマヨによる彫刻作品
「La Espiga」
が置かれています。
全体がガラス張りで自然光を取り込む建築が印象的な建物です。
キオスクのお姉さん
ファインは、ここ「現代アート美術館」前でりんご飴を購入しました。
キャンパス内には、日曜日でも市民が訪れるのでキオスクで軽食等を売っています。
<LA SUPERACIÓN DEL HOMBRE POR MEDIO DE LA CULTURA>
歯学部校舎に描かれている有名な壁画です。
作者は、フランシスコ・エッペンス・ヘルゲラ氏
この作者は、彫刻や切手のデザインなどでよく知られているアーティストです。
メキシコ国旗中央の国章もフランシスコ・エッペンス・ヘルゲラ氏が手掛けました。
<ビジターセンター>
ビジターセンター(大学本館の隣の建物内)で、メインキャンパスツアーが開催されています。
メキシコ自治大学の歴史など、詳しい説明をスペイン語で聞くことができます。
アクセス:Access
最寄り駅:3号線Copilco駅 徒歩約17分
ちなみに、地下鉄コピルコ駅は構内に壁画がびっしり描かれています。
駅を出てから駐車場などを抜けて、壁画の描かれている校舎を歩いていきます。
メトロ3号線Universidad駅で下車すると中央キャンパスまでバスで移動する事になります。
メトロバスでもメキシコ国立自治大学へ行くことが出来ます。
最寄り駅:1号線「Dr.Garvez駅」 徒歩約6分
<シケイロスの手と鉛筆>
メキシコ自治大学では、中央図書館の壁画に次ぐ人気を誇ります。
以下の写真だと、わかりずらいでしょうか?
鉛筆を持った手の先には、西暦が記載してあるのです。
シケイロスの手と鉛筆
この西暦には以下の意味が込められています。
- 1520年:アステカ帝国滅亡
- 1810年:スペイン独立戦争
- 1857年:憲法制定
- 1910年:メキシコ革命
- 19??:ここにはどのような意味が込められているのでしょうか?
PUMA BUS:プーマバス
巨大学園都市は7㎢あるので、歩いて移動したらメチャメチャ大変です。
でも、ご安心ください。
巨大なキャンパス内には、平日のみですが無料の循環バスが走っているのです。
ファインは日曜日に訪れたので、残念ながら「プーマバス」は動いていませんでした。
12路線あり、キャンパス移動にはとても便利で、もちろん観光客も乗ることが出来ます。
プーマバスは、「Universidad駅」からも出ています。
平日なら、学生による無料のキャンパスガイドもあるので土日に訪れるのはちょっと勿体ないです。
<シケイロスの民衆から大学へ、大学から民衆へ>
この壁画も「シケイロスの手と鉛筆」に匹敵するほど有名で人気があります。
シケイロスの民衆から大学へ、大学から民衆へ
学長塔に描かれており、立体的で迫力のある壁画です。
独特の鮮やかな色彩で立体的な絵は、遠くからは絵が飛び出しているような感覚になります。
Las Islas:島々
芝生で覆われた広場は、Las Islas(島々)と呼ばれています。
アクティビティなどが催され、学生たちの憩いの場となっています。
ファインが訪れた休日は、家族連れが多く訪れる人気のピクニックスポットです。
学生たちのサークル活動の練習風景
その広場で唯一UNAMの学生さんを見かけました。
彼女たちは、ロープ(布)を何度も昇り降りしていました。
なんのサークルかわからなかったけど、日曜で数少ない学生との出会いでした。
エスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオ:オリンピック・スタジアム
1952年に建設されたものです。
1968年のメキシコシティオリンピックではメイン会場として使われました。
オリンピック・スタジアム正面入口
日本が、サッカーで銅メダルを獲得した大会です。
1986年の第13回FIFAサッカーワールドカップでもこの会場が使用されました。
オリンピック・スタジアム側面
<トラテロルコ事件>
メキシコシティオリンピックを語る上で、忘れて行けない事件があります。
トラテロルコの虐殺、とも言われている事件です。
メキシコシティのトラテロルコ地区にある「ラス・トレス・クルトゥラレス広場」で
オリンピック開催の10日前に起きたショッキングな事件です。
軍と警察が、デモ鎮圧のために学生と民間人約400人を虐殺し、1354人が逮捕されました。
この時、メキシコ自治大学の教授と学生約50,000人もデモに参加し、6つの要求リストを繰り返していたとされています。
オリンピックを直前に控えた当時のディアス・オルダス大統領は、このデモを武力により中止させることを決め、 UNAMキャンパスを占領するように軍隊に命じたのです。
この時に、デモに参加していない学生も無差別に殴打されたとの記述が残っています。
このような黒歴史を知ってから見学すると、壁画や景色が違って見えてくるものです。
ラス・トレス・クルトゥラレス広場を日本のガイドブックでは三文化広場と書いてあります。
治安のよくない「テピト」の近くにあるので、行かれる方はくれぐれもご注意下さい。
ポリフォルム・シケイロス
シケイロスの作品のなかでも、最大の壁画がある1971年に完成した劇場です。
12枚の壁画で形成された外観のインパクトは鮮明に印象に残ります。
ちなみに、この記事の写真が「ポリフォルム・シケイロス」の建物です。
しかし、ファインがどうしても観たかったのは外観ではありません。
劇場内の巨大な壁画『La marcha de la humanidad(人類の行進)』です。
人類が未来へ向かうための力強いメッセージを込めた壁画が建物内にあります。
芸術に関心のないファインがあの岡本太郎氏が唸ったほどの作品をどうしても観たかったのです。
しかし、ファインが訪れた時はお休みでした。ぴえん
ちなみに、「ポリフォルム・シケイロス」はメキシコ自治大学の敷地内にはありません。
ファインは街並みを楽しく散策しながら、4km以上も歩きました。
メキシコ自治大学を散策中に話しかけてきたオジサンが
「ポリフォルム・シケイロスに行きたいなら送ってあげるよ」
と声をかけてくれました。
不安そうな顔をしていると
「お金は要求しないよwww」
と言ってくれましたが、丁寧にお断りしました。
昼間だったし、今考えたら甘えちゃっても良かったのかも・・・・と思っています。
なんでもかんでも人を疑うのは、貴重な経験を失うので勿体ないことかもしれませんね♪
ここまで読んでいただきありがとうございました。
追伸
今回ご紹介した「メキシコ国立自治大学」はいかがでしたでしょうか?
「メキシコ国立自治大学」は、日本の大学と異なり1学期~8学期まであるそうです。
日曜日のUNAMは、周辺住民の憩いの場になっていました。
雰囲気は、代々木公園と筑波大学を足したような感じでした。(わかるかな?)
Universidad駅から「PUMA BUS」も走っているので平日に行くことをお勧めします。
ファインは、日曜に行ってちょっと後悔しました。
海外の大学も日本の大学と違う特徴があって、色々と楽しいですよ。
メキシコシティに訪れた際には、ファイン的には観光地候補に入れて欲しい場所です。
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