マガンダン アラウ、旅ブロガーのファインです。
「耕して天に至る」という言葉を聞いたことはありませんか?
棚田の絶景を表現するときに頻繁に形容されている言葉です。
フィリピン・コルディリェーラの棚田群と聞いても???と思う人が大半でしょう。
しかし「バナウエ・ライステラス」と言われたら聞いた事ある人もいるのではないでしょうか?
世界遺産フィリピン・コルディリェーラの一部が「バナウェイ・ライステラス」なのです。
フィリピン・コルディリフェーラの棚田群が世界文化遺産に登録された基準は以下の3つです。
★現存する又は消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
★人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
★ある文化(又は複数文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
3つ目の伝統的集落に該当するのが「イフガオ族」です。
彼らは、2000年以上の歴史があるライステラスを作ってきました。
イフガオ族は山岳農耕民族で、標高約1100m~1400mの山岳地帯に暮らしています。
しかし、1995年に世界文化遺産に登録後、観光収入が彼らの生活に変化を与えました。
昔ながらのイフガオ族の面影を残しつつ、観光客向けの「やらせ」を感じてしまいますww
ということで、今回は「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」について語ります。
フィリピン・コルディリェーラの棚田群:Rice Terraces of the Philippine Cordilleras
日本でも千葉県の鴨川大山千枚田などが有名ですが、フィリピンの棚田は規模が違います。
標高1000~1500mの山岳地帯のあちこちに点在しているのです。
バナウェィ、ボントック、バタッド、バンガアンなど総延長は2万キロ以上に及びます。
数字だけだとピンと来ないかもしれませんが、地球半周する距離に匹敵するのです。
日本と同じような小規模の棚田から、
「本当に管理できるの?」
と思うほど大きい棚田まであります。
山岳地帯の傾斜地を利用したこれらの棚田が、人の手で作られたことに驚きを感じます。
コルディリェーラ=山脈
「天国への階段」とも呼ばれているほど急勾配で、棚田を歩くときは注意が必要です。
道幅が30cmしかなく、滑ると怪我をするか田んぼに足を突っ込み泥まみれになります。
2000年以上も前から、少数民族イフガオ族によって切り拓かれた棚田です。
バナウェィの棚田
アクセス:Access
電車や飛行機がないので、移動手段の選択肢はバス1択
所要時間:マニラからバスで10時間~11時間
運賃相場:480ペソ(約1,190円)~900ペソ(約2,231円)
世界文化遺産登録後、バスの種類は豊富になりましたが観光客に人気が高いのは以下の3社。
①オハヤミ・トランス(Ohayami Trans)
最寄り駅:MRT/Legarda駅
徒歩13分
22:00発の1日1便のみ
運賃:490ペソ(約1,215円)
運賃最安値ですが、4列シートしかありません。
②フロリダバス(Florida Bus)
最寄り駅:MRT/Legarda駅
徒歩14分
22:45発の1日1便のみ
運賃:700ペソ(約1,736円)
ピンクの車体で観光客に人気が高いバスです。
③コダライン(Coda Lines)
最寄り駅:MRT/アラネタ・センター-クバオ駅
徒歩8分
運賃:900ペソ(約2,231円)
21:30発(ピーク時は便数が増えます)
3社の中では一番高いですが、3列シートのVIPバスです。
上記3社に共通しているのは、極寒だということです。
乗車時は、冬服装備が必要になります。
ボントック:Bontoc
世界文化遺産「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」への拠点となる街です。
ここには、地名の由来となった「ボントック族」が約5,000人生活をしています。
彼らは、首狩りの文化を継承していた部族の1つです。
現在この文化は消滅しています。
彼らの集落以外の人間を殺害し、切断した首を持ち帰るというやや宗教的な文化です。
基本的理念として、人間の頭部に霊的な力が宿ると信じられていました。
その霊的な力を自身のものにしようとする、宗教的な行為が首狩りと言われています。
また、豊作や豊漁・豊猟を確保するための首狩文化と言う説もあります。
当時は近隣との争いが絶えなかったので、戦闘の勲功を証明する説が有力みたいです。
日本ではあまり知られていませんが、ボントック近郊にマリコン・ライステラスがあります。
ファインは訪れていませんが、ポントックには民族博物館もありました。
アクセス:Access
マニラからバギオ経由のバスで、約12時間
マニラからバギオ:約8時間
バギオからポントック:約4時間半
バギオ:Baguio
あなたのフィリピン滞在で時間があるなら、バギオで一泊するのもお勧めです。
標高1,500mにある街なので、暑いフィリピンでも1年を通して涼しい気候ですよ。
<パナグベンガ・バギオの花祭り:Panagbenga Baguio Flower Festival>
毎年2月から3月の1周目にかけて開催されるバギオ最大のお祭りです。
この時期は、フィリピン各地からバギオに観光客が訪れるので宿代が高騰します。
~見どころ~
①花車のパレード
②花の庭を造る催し物
③ストリートダンスイベント
などでバギオの街全体が賑わいます。
次回お話しする「サガダ」もここバギオから行きやすいです。
バギオを拠点にフィリピン北部を観光する観光客も大勢いますよ。
人気の避暑地なので、マニラからバギオへは沢山のバスが出ています。
運賃相場:500ペソ(約1,240円)~800ペソ(約1,983円)
アクセス:Access
距離:マニラから約250km
所要時間:5時間~8時間(運賃が安いバスは経由地が多く時間がかかる傾向にあります)
バギオの花
<公式サイト>
伝統は生き続ける..|パナグベンガフェスティバルの公式サイト (panagbengaflowerfestival.com)
バナウェイ:Banaue
コルディレラ山脈の中央に位置します。
イフガオ州の州都です。
山岳地帯なのに、米作りに不可欠な水は、どこからくるのか不思議だと思いませんか?
実は、棚田の上には広大な森があるのです。
山頂付近を覆う熱帯雨林が、これほどの棚田を形成する「いのちの森」なのです。
森の豊富な湧き水を、用水路をつくって棚田の上まで導いています。
上の水田から下の水田へと水路を繋ぎ、自然の力で水を流れ落としているのです。
フィリピンは、東京都約2倍の降水量があります。
棚田の上に存在する熱帯雨林は、多くの雨水を蓄えているのです。
その雨水は、森から養分を吸収し、棚田に流れ込む仕組みを形成しています。
その石や土でつくられた壁の隙間や水路を作り上げたのが以下で紹介する「イフガオ族」です。
イフガオ族は、急斜面という地の利を活かしました。
現代でも、ポンプなど機械は使われていません。
人間の知恵と自然とのコラボレーションが築き上げた景観は息をのむ美しさです。
あなたは、「世界の七不思議」って聞いたことありませんか?
その世界の七不思議に次ぐ「世界の8番目の不思議」ともいわれています。
ファインは、高台のビューポイントから「バナウエライステラス」を一望しました。
添乗員時代に国内の棚田ツアーに行きましたが、スケールが違います。
世界文化遺産に登録され、世界の8番目の不思議と言われる理由がわかる気がしました。
手作業で耕してきたとは思えないほどの絶景が広がっているのですから。
ちなみに、これらの棚田のあぜ道を平らにすると地球半周分の長さになるそうです。
<バナウェィ観光センター:Banaue Tourism Center>
観光センターは、マニラやバギオからのバスが到着する道路脇にあります。
バナウェィに入る旅行者はここで「登録」と「環境費」50ペソ(約123円)を支払わなければなりません。
営業時間:5:00~20:00
①棚田へのアクセス方法
②ガイドの手配
③トライシクル料金
④バナウェの地図
⑤トレッキング情報
棚田の中に作られた「石造建築」は景観を損ねるとの意見が出てかなり揉めたそうです。
世界文化遺産に登録されると、このようなトラブルはしばしば起きますね。
ファインはマニラで出会った仲間と一緒に行きましたが、ツアーで行くことも可能です。
ツアーバスでは、「サンライズ・ビューポイント」が組み込まれていることが多いです。
また、ツアーには山岳ガイドが付いていることが多くトレッキングも楽しめます。
ベストシーズンは、田植えが行われる2月〜3月と、稲刈りが行われる6月〜7月と言われていますが、基本的には年間を通して観光することが出来ます。
バナウェイ到着後、ツアー参加する方は2000ペソ(約4,904円)から交渉が始まります。
ツアーに参加しない方は、行くだけだったら150ペソ(約368円)が運賃相場ですww
アクセス:Access
マニラからバナウェイの距離:約379km
アンへレス経由:約9時間(休憩時間次第で10時間から11時間)
運賃相場:900ペソ(約2,207円)
バギオ~バナウェィの距離:約221km
所要時間:約6時間(休憩時間次第で7時間から9時間)
運賃相場:350ペソ(約868円)
バスステーション周辺には、簡単な雑貨屋さんはありますが種類は少ないです。
かなり険しい山道を走るので、安いボロバスは避けた方が無難かもしれません。
パンクや故障でイライラする方は、多少高くてもいいバスを選択しましょう。
バスが出発してから約2時間位でトイレ休憩がある点は日本と同じでした。
有名なバナウェィのビュー・ポイントは、バギオ~バナウェィの移動中に通ります。
ガイドさんの説明では、有名なバナウェイの棚田は世界遺産から外れているそうです。
※バスと言っても観光バスのような大型ではなく、ハイエースのようなバンタイプ
タッピヤの滝:Tappiya Falls
バナウェの「バタッド・ライステラス」では、壮大な緑を楽しみながらトレッキングが出来る場所としても良く知られている「タッピヤの滝」があります。
ベストシーズンは、この地域の乾季に当たるの12月から6月と言われています。
米の収穫時なので、葉が緑から黄金に変わる様子も見ることができるでしょう。
バタッド・ライステラスツアーに参加すると、タッピヤの滝が含まれています。
個人で行く人ももいますが、ツアーの方が安心です。
タッピヤ = 罠
所要時間:約5時間のトレッキングツアーです。
この滝に入水する人もいるけど、かなり冷たいのでファインは手だけ入れました。
ツアーによっては途中のロッジで宿泊するプランもありますが日帰りで満足できます。
トレッキングと言う名称から甘く見ている観光客が多い傾向です。
しかし、アップダウンが激しいので個人的にはややハードだと思います。
アクセス:Access
往路:下りなので約90分
復路:上りなので110分
イフガオ族:Ifugao
イフガオ族は文字を持たない民族です。
文字を持たない民族が受け継いできた棚田は世界的に認められています。
住居は、近年は減少傾向にありますが高床式住居が一般的でした。
ファインが見せてもらった高床式住居には、もちろん電気がありません。
約2,000年もの間、世界文化遺産の「コルディリェーラ棚田群」を作ってきた一族です。
「イフガオ族」は、観光客が写真を撮る時に民族衣装を着てくれます。
普段はTシャツ姿など、他のフィリピン人と同じ服装で過ごしていますから。 笑
このイフガオ族が暮らす山岳地帯の村にも世界遺産登録後に大きな変化が起きました。
文明の利器による生活の変化や後継者不足により耕作を放棄する動きが始まったのです。
その影響により棚田が荒廃し、景観の維持管理が行き届かなくなりました。
世界文化遺産に登録されたことで、棚田が荒廃するなんて皮肉な話ですよね。
とうとう2001年には危機遺産リストに登録される事態にまで荒廃してしまったのです。
写真待ちの「イフガオ族」
そこで日本を含む多くの国内外の支援団体が
「棚田を守ろう」
と立ち上がりました。
①伝統的な農法による棚田の保全
②技術や知識の伝承
この2つを守る活動の成果により、2012年に危機遺産リストから解除されたのです。
世界遺産に登録されるのは、決していいことばかりではないのですね。
その地を訪れないとわからないようなことを色々と勉強させられます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
追伸
フィリピンの世界文化遺産・コルディリェーラの棚田群はいかがでしたでしょうか?
ファインは、棚田見学の途中でイフガオ族の村で休憩させて頂きました。
イフガオ族の村では、休憩所の隣に小屋がポツンと建っています。
その高床式の小屋は、なんと家畜の解体所だったのです。
日本人の多くは、スーパーで売られている肉しか見たことないですよね。
イフガオ族の村では、家畜を解体する状況を生で見せてくれます。
しかし、目を覆いたくなるほどの光景で繊細な方はしばらく肉を食べられません。
好奇心旺盛な方でも、この解体作業を観ることはオススメしません。
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