皆さんニイハオ、旅ブロガーのファインです。
あなたは、中華人民共和国の「特別行政区」をご存じでしょうか?
一言で説明するならば、1国2制度のことです。
香港はイギリスから1997年に返還され、特別行政区となっています。
マカオはポルトガルから1999年に返還され、特別行政区となっています。
返還後50年間は、立法、司法、行政、の独立を含む自治権を与えるというものです。
つまり、中国になってもこれまでの生活様式を変えないというお約束の意味を含みます。
ということで、今回は特別行政区の「香港」について語ります。
香港の今
香港では、抗議活動が激しく行われていたニュースをご覧になった方も多いでしょう。
個人的には、空港がデモにより占拠されたニュースにとても衝撃を受けました。
現在は、デモが激減してほとんどニュースで見かけることはなくなりました。
この状況は、決して問題が解決したわけではありません。
中国政府が、「香港国家安全維持法」可決させてしまったことが影響しています。
香港国家安全維持法
▼国の分裂 (中国と香港を分裂させてはいけません)
▼政権の転覆 (中国政府に逆らってはいけません)
▼テロ活動 (テロ活動をしてはいけません)テロ=デモ
▼外国勢力との結託(海外の国々に助けを求めてはいけません)
この4つは、デモを起こした香港人にとっては恐怖以外のなにものでもありません。
この法律に違反すると最高刑は終身刑となります。
しかも、この法律が可決されたのが6月30日の23時というから驚きです。
7月1日は香港がイギリスから返還された日で大規模のデモが予定されていました。
つまり、デモの規模が激しくなることを力ずくで抑え込むための法律なのです。
<周庭氏>
民主化の女神と言われている周庭氏が逮捕されたニュースは、日本でも流れました。
逮捕容疑は「外国勢力との結託」に触れたとのことです。
周さんは、海外から中国への制裁を求めるSNSグループに接触していました。
ちなみに現在は保釈されている状況ですが、釈放ではありません。
48時間以内に起訴できなければ保釈される法律で一時的に身柄の拘束を解かれただけです。
起訴に向けた捜査や裁判へのプロセスは現在も続いています。
光復香港 時代革命
以前は「光復香港 時代革命」と書かれた旗を掲げてデモ行進していました。
意味は、「香港を取り戻せ、革命の時だ」みたいなニュアンスです。
つまりこの旗は「香港国家安全維持法」にがっつり触れてしますのです。
この法律を恐れ、現在のデモは白紙を掲げて小規模のデモが続いています。
香港に栄光あれ
スポーツ国際大会で、国歌がながれるときに香港代表戦で聞いたことないでしょうか?
歌詞の内容が、香港の自由と民主を守るという意味が込められており禁止されました。
今後、中国の法改正がなされない限りこの香港歌が流れることはないと言われています。
通識教育
香港では、中学のころから「通識教育」が導入されております。
「通識教育」とは、香港の教育現場で行われているディスカッション式の授業のことです。
知識を詰め込むだけでなく、議論して社会問題を理解しようとする形式の授業です。
議論を通じて自分で考える力を身に着けることが特徴の教育も終了を迎えています。
中国共産党の悪い所を議論すること自体が法律に触れるという解釈をされているのです。
中国本土から香港へ来た人は、この授業で初めて「天安門事件」を知った人が多いです。
容疑者の引き渡し条例改正案
そもそもデモのきっかけとなったのが「容疑者の引き渡し条例改正案」です。
簡単に説明すると、容疑者を中国本土にも引き渡せるようにする改正案です。
この改正案に反対する香港人が5つの要求を掲げて抗議デモを起こしました。
5大要求
▼容疑者の引き渡し条例改正案の撤回
▼行政長官選挙への直接選挙への導入
▼警察の取り締まりを調査する委員会の設置(警察のデモ隊への暴力を問題視)
▼抗議活動を「暴動」とする見解の撤回
▼捕まった人たちの釈放(デモ参加者や民主派議員の釈放時その取り消し)
6月16日に200万人規模のデモが行われた2日後に改正案のみ撤回されました。
デモのきっかけとなった男
台湾での殺人事件が「容疑者引き渡し条例改正案」を作成する契機となりました。
台湾旅行で、20歳の女性を殺害した19歳の香港人が別の罪で香港で服役中でした。
その男を香港で服役後に台湾へ身柄を引き渡すのことが問題となったのです。
当時、台湾と香港では、容疑者を引き渡す条例がないために急遽条例を改正したのです。
ここまでは、異論を唱える者はほとんどいなかったそうです。
その改正案にどさくさに紛れて、中国本土へも引き渡すことが含まれていたのです。
それを問題視したことがきっかけでデモが起こりました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
追伸
現在の香港は、社会主義と資本主義が共存する1国2制度が続いているはずでした。
海外で出会った香港出身の方々は、自分たちは中国人ではなく香港人だと主張しています。
とても香港に対する地域愛が強く、中国に支配される将来を恐れていることが伺えました。
ファインも香港が好きなので、これまで通り安く簡単に渡航できる状況を望んでいます。
ファインが今後記事にする香港は、デモやコロナ禍以前に渡航した体験を元にしています。
状況が刻々と変わる現在の香港とは少しかけ離れていることについてはご了承ください。
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